こうしてスタートしたタクシエは現在、対象エリアを当初の東京23区から東京・神奈川・千葉・埼玉の115市区町に拡大。不動産会社の参加数、登録エージェント数もそれぞれ20社、300人以上に拡大している。また、サービス開始以来、ユーザーインタビューを積極的に実施するとともに、登録エージェントから寄せられる意見や、サービス内のユーザーと仲介担当者の動向をチェックしながら、システムの改善を進めている。
「例えば、当初はユーザーから希望するエージェントにチャットで相談する形にしていましたが、受動的なユーザーが多く、なかなかチャットでの相談が行われにくい状況がありました。
そこで、マッチ度の高いエージェント上位3人に、ユーザーにチャットを送れる権利を付与し、エージェントから売却提案ができるように変更しました。その結果、ユーザーとエージェントの間で相談がされやすくなり、相談率は当初の9%から28%にまで改善しました」(馬塲さん)
タクシエのモニター参加者からは、「過去に仲介担当者選びで失敗しており、経験知が高くて人柄がいい人にお願いしたいと思ったので、所属会社やプロフィールがあることで、無駄足を踏まず効率的に選択できた」「一括査定だと担当者が分からない状態だが、プロフィールが見られて、入口がチャットなのはいい」「自分の物件にあった仲介担当者が選べる点が良かった」などのコメントが寄せられている。
「タクシエでマッチングした売主と仲介担当者との成約事例もいくつか出てきています。特に相続や空き家の相談や、他社での売却がうまくいなかった売主の利用も多いです。ユーザーからの評価が成果として出てくるのは、うれしいですね」(落合さん)
今後の課題は、サービスの認知度がまだ十分ではないため、サイトへの流入や会員登録数を増やしていくとともに、媒介契約から成約までユーザーを着実に導くことだ。
「現状は、ユーザーがエージェントを選んだり、不動産を売却するために必要な知識がまだまだ十分ではない状況にあり、そうした知識を高めてもらうための情報をタクシエで提供していくことが必要だと考えています。情報の非対称性を解消し、安心して不動産取引ができるプラットフォームを目指します」(馬塲さん)
「不動産取引において重要なのは、やはり人です。良いサービスを行う仲介担当者が選ばれる世界をタクシエで実現したいと思いますし、このサービスを通じて当社のミッションの1つである『不動産流通市場の発展と信頼性向上』に寄与していきたいと考えています」(落合さん)
日本の不動産取引の在り方を変える可能性を秘めたタクシエ。今後のさらなるサービス展開が注目される。
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