大手SNS「Twitter」の運営会社で、大規模な人員削減が進行中だ。Twitterは全世界で3億3300万人ものユニークユーザー数を誇り、日本だけでも4500万人が利用する、大規模なSNSである。
10月28日、米国の実業家イーロン・マスク氏が、米ツイッター社の全株式を買収。同月31日、同社のCEOに就任した。マスク氏は直後から同社の経営改革を進め、その一環として11月4日、同社の全世界における従業員の約半数にあたる3700人を解雇したと報じられた。11月21日に開催された全社会議でマスク氏は人員削減の完了を宣言したが、このわずか3週間で、同社従業員は約7500人から約2700人にまで激減したようだ。
通知を受けた従業員は突然、社内システムにアクセスできなくなったという。日本法人の従業員もリストラ対象となっており、「広報部門は全員が対象となった模様」「270人中200人が解雇対象となっている」などと報じられている。
マスク氏は一連の人員削減について自身のTwitterに「残念ながら会社は1日当たり400万ドル(日本円で約5億6000万円)を超える損失を出している以上、選択の余地はない。解雇された全員に、法的に要求されているよりも50%多い3カ月分の退職金を支払った」と投稿している(なお、米国メディアではこの人員削減を「レイオフ」と報じている。レイオフとは業績が悪化した企業で実施される整理解雇の一種であり、「業績が回復するまで従業員を一時的に解雇し、業績が回復したら再雇用する」というものだ。再雇用が前提にあるという点において、再雇用しない一般的な「解雇」とは別の扱いである)。
一連の人員削減については、Twitterの日本法人でも多くの解雇対象者が出たこともあり、わが国でも連日話題となっている。素朴な疑問として呈された意見の中に、このようなやりとりがあった。
「やっぱり外資系企業だけあって、社員をクビにするのもアッサリなんだな」
「でも日本で営業している以上は、外資系といっても日本の法律を守らないといけないんじゃないの?」
「確かに。しかし日本って解雇規制が厳しいはずだよな。どうやってるんだろう……」
確かに外資系企業といえども、日本国内で営業しているならば、安易な解雇を制限する日本の労働基準法や労働契約法が適用されるはずだ。しかし一方で、「外資系はクビになりやすい」という認識を多くの人が抱いているのではないだろうか。
これはよく考えたら不思議なことである。「外資系企業は治外法権なのか?」と疑問に思われたことがある方も多いかもしれない。
今回は米ツイッター社の解雇をケースとして、「外資系企業におけるクビ」と日本の法律との兼ね合い、そして一般的に認識されている「日本には厳しい解雇規制がある」との言説の誤解と実態について解説していこう。
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