宮本村長の熱心な声掛けもあり、店の土地を村が用意してくれることになった。村役場の隣、国道沿いの良い立地で、約300坪。価格は年間3万円、月々2500円と破格だ。
「土地は村の所有地だったのですが、長年あるおばあさんが住んでいたんです。村長をはじめとした村役場の方が熱心に説得してくださり、最終的には『村のために』と、村が運営する住宅に移動していただき、土地が使用できるようになったんです」(丸谷会長)
土地を安価で使用できることが決まり、出店できる可能性が見えてきた。丸谷会長は、「赤字は困りますが、プラマイゼロであれば出店できると考えました。みんな困っているのだから、何とか要望に応えたいという気持ちが強かったですね」と話す。
地代の他に想定される大きなコストは、物流、人件費や光熱費、減価償却費の3つが残っていた。丸谷会長は、24時間営業ではないため人件費・光熱費はそこまで高くないと予想。一方、物流コストの問題に関しては、セコマの強みを生かすことができた。
「セコマは原料生産・製造、物流、小売まで一気通貫で担っています。物流においては北海道全体を網の目のようにカバーできており、田舎の村にもセコマのトラックが走っている状態です。新しくルートを開設する必要がないことも、過疎地に出店できる理由だと思っています。毎日、少量の商品を届けるためだけに数十キロ走っていたら、ドライバーコスト、エネルギーコストが莫大に掛かってしまいますから。
店というのは、単なる箱であり、棚です。物流があって、毎日商品を届けているから、店として成り立つのです。物流は血液のようなものなので、止まることなく流れていなければ、店は成り立たなくなってしまいます」(丸谷会長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング