また、セコマで販売している商品の半数以上を自社で製造していることも背中を押した。総菜や弁当を製造し、出荷すれば、店舗で売り上げが上がらなくても、グループ全体で見たら利益が出る。サプライチェーンを全て経営しているため、たとえ店が赤字でも、製造や物流でカバーし、グループ全体で帳尻を合わせられるだろうと考えた。
「何より“村の方の思い”、そして住民の思いを受けた自治体の熱心な取り組みが、私たちを突き動かしました。『何とか来てほしい』『セコマさん、お願いします』と頼まれることは、小売り冥利(みょうり)に尽きるじゃないですか。何のために店を運営しているのかということに立ち返ると、やっぱり“地域の人の役に立ちたい”ということに尽きます。
単純に売り上げを出す、利益を上げることが目的なのではないと思うのです。地域の住民の方に楽しんでもらって、感謝されて、長く利用してもらって、固定客ができて――。その結果が売り上げや利益につながるのではないでしょうか? とにかく、『みんな困っているから何とかしてあげたい』と、それだけでしたね」(丸谷会長)
初山別店の出店において、最も苦労したのは「従業員の確保」だ。募集はしたが、人口は1200人、さらにお年寄りが多い地域で、働き手を探すことは困難を極めた。
「募集を掛けた当初、集まったのはたったの2人。お店の運営を考えると、最低10人は必要でした。村役場の方が協力してくださり、村の広報誌での宣伝や関係者への声掛けを実施してくれました。また、村長自らが村を歩いて探してくれて、なんとか従業員を確保できましたね」(丸谷会長)
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