暗号資産をはじめ、暗号化されたデータ資産の秘匿性と信頼性を支えている技術がブロックチェーンだ。このブロックチェーンを用いて、暗号資産などとは違い、他のものに「交換不可能」にしたものがある。NFT(非代替性トークン)だ。
NFTの代表的な成功例として挙げられるのが、米プロバスケットボールリーグNBAのトレーディングカードゲーム「NBA Top Shot」だ。NBAと、米ブロックチェーンベンチャー企業「Dapper Labs」によって2020年11月から提供されている。
実際の紙のカードではなくデジタルデータとなっていて、このデータがNFTになっているのだ。NFTになっているため、そのデータにシリアルナンバーのような唯一無二の情報が付与されていて、複製が非常に困難になっている。そしてこの唯一無二のカードゲームのデータが、非常に高値で取引されていて、1枚のカードが2000万円以上で取引されることもあるほどだ。
NFTはこうした性質を持つため、絵画やグッズ、ゲームや音楽など多様なコンテンツに活用されることが多いのが特徴だ。2017年以降、認知度が高まってきていて、特に近年、急速に市場が広がっている。NFTに関する調査を手掛ける「NonFungible.com」の報告書によると、20年の世界のNFT市場の総取引高は約8200万ドル(約115億円)だったのに対し、21年は約176億ドル(約2兆4659億円)と、200倍以上に膨れ上がっている。
そんなNFT事業に楽天グループが2月から参入した。前編記事【楽天グループがNFT事業に参入した理由 世界に打って出る「日本発の勝算」とは】では、同社のNFT事業部ゼネラルマネージャーで、楽天チケット社長も務める梅本悦郎さんに楽天がNFT事業に参入した理由を聞いた。
後編では、国内でNFTビジネスを展開する上で、いったい何がネックになっているのかを聞く。
梅本悦郎(うめもと・えつろう) 楽天チケット社長、楽天NFT事業部、ゼネラルマネージャー。2017年まで外資コンサルに日本法人社長。18年、楽天入社。メディア&スポーツカンパニー マーチャントクラウド事業などを経て現職
楽天グループがNFT事業に参入した理由 世界に打って出る「日本発の勝算」とは
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