LCCはコロナ前より成長しているのに、なぜANAはまだ回復途上なのか?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/5 ページ)

» 2022年12月26日 05時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

需要はどの程度回復したのか

 続いて主力の航空事業について、もう少し詳しく業績を見ていきましょう。

photo 23年3月期第3期決算説明会資料

 航空事業全体としては、売上高は前年同期比92.5%増の7128.0億円、営業利益は前年同期が1137.0億円の赤字から399.0億円の黒字に転換しています。

 航空事業単体では売り上げが倍増し、黒字化にこぎつけた形です。これはコロナ禍以降では最高の売り上げで、旅行需要の回復に伴い業績が回復したことが分かります。

photo 23年3月期第3期決算説明会資料

 もう少し詳細な売り上げの推移を見てみると、

  • (1)国際旅客(ANA):売上1614億円(430.9%増)
  • (2)国内旅客(ANA):売上2428億円(117.2%増)
  • (3)貨物郵便(ANA):売上1998億円(29.7%増)
  • (4)LCC:売上408億円(213.8%増)

となっていて、どの事業も大きく業績が伸びており、回復が進んでいます。

photo 23年3月期第3期決算説明会資料

 ANAの発表によると、国内線ではビジネス需要が堅調に回復している一方で、コロナ第7波の影響でレジャー需要は悪影響を受けているとしています。

 国際旅客に関してもビジネス需要が回復してきたと分析しており、今回の23年3月期の第2四半期(22年7〜9月)に関してはどちらかというとビジネス中心の回復だったことが分かります。

 10月以降は全国旅行支援などもありレジャー需要が一気に回復しているため、さらに回復が進む可能性は高いでしょう。

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