続いてコロナ禍前と比べての変化を見るため、22年3月期の第2四半期と20年3月期の第2四半期を比較していきます。
航空事業全体の売上高は23.4%減、営業利益は45.7%減となっており、売り上げは4分の3程度、営業利益は2分の1程度の状況とまだコロナ以前の水準までは回復してきていません。
さらに売り上げを詳しく比較していくと
となっていて、LCCは9割弱まで回復しているものの、ANAの国内線は34.1%で国際線は52.3%減という状況です。まだまだ十分な回復には至っていません。
一方で、貨物郵便については大きく成長していることが分かります。それぞれについてもう少し詳しく見ていきます。
大きく成長していた国際貨物に関しては重量は98%ながらも、単価は366%、売り上げは359%の大幅な上昇です。
海上運賃の高騰も含め国際物流の価格が高止まりした状況が続いていますので、その好影響を受けていたということですね。コロナ禍で人の運輸に関してはダメージを受けましたが、物流が止まっているわけではなく貨物は増加していました。単価上昇が起きていたことは航空会社にとってはせめてもの救いだったでしょう。
また、国際線に関しては、旅客数は38%にとどまるものの、単価は126%に上昇。結果として売り上げは48%です。
ANAの国内線は旅客数が62%、単価が105%で売り上げは65%と痛手です。
LCCのPeach国内線でも同様に、22年3月期の第2四半期と20年3月期の第2四半期を比較すると、旅客数は158%、単価は113%、売り上げは178%。旅客数、単価ともにコロナ以前を上回る状況となっています。
国際線、国内線、LCCともに単価は上昇しています。これは需要がコロナ禍前よりもあるからではありません。ジェット燃料の高騰を受けて「燃油サーチャージ」が上昇している関係で、単価が上昇しています。
また、LCCのPeach国内線に関しては旅客数に関してもコロナ禍以前を大きく上回る水準です。国内を移動する場合、移動時間は長くとも2〜3時間程度で、そこまで長時間の移動にはなりません。このため、移動の快適さよりも料金重視の顧客が増加しているのかもしれません。
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