「シン・鉄道」のカギを握る会社はどこか 技術がどんどん“加速”する杉山淳一の週刊鉄道経済(1/6 ページ)

» 2023年01月02日 10時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 2022年は「西九州新幹線」「只見線」「クラウドファンディング」の1年だった。

 新幹線としては5年半ぶりの「西九州新幹線」が開業し、長崎方面がにぎわった。旅行機運が復活し、並行在来線の上下分離が行われ、新たな観光列車も走り始めた。ミッシングリンクとなっている鳥栖〜武雄温泉間も注目された。しかし佐賀県の費用負担問題などがあり未解決だ。

 「只見線」は11年ぶりの運行再開だ。映画『霧幻鉄道〜只見線を300日撮る男〜』も話題となり、紅葉シーズンは旅行客でにぎわった。地域負担で鉄道を維持しにぎわいを得る。ローカル線の活用法を示した。

 鉄道系のクラウドファンディングも盛んだった。只見線の映画もクラウドファンディングで資金を集めた。大井川鐵道がSL復活のために約8400万円を集めた。野岩鉄道も旧型電車の維持改修で約2200万円を獲得。精神科病院が東急8500系電車を保存するプロジェクトは「精神科医療」の理想を掲げて約5100万円を集めた。

只見線は全線開通、秋の紅葉客が多く臨時列車が運行された

 只見線や西九州新幹線も含めて、「鉄道とお金」を考えさせられる1年だった。国の認可がなくても鉄道運賃を値上げできる制度が国交省から提案された。赤字鉄道路線のあり方について、国も積極的に関わるべきだという提言があった。「おカネがない」をどうやって解決していくか。23年も引き続き知恵を絞っていく必要がある。

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