実験的な出店とあって、立地環境は3店でそれぞれ異なる。1号店の青梅店は、カラオケ店「まねきねこ」の建物1階に出店し、カラオケ店利用客の購入を狙う。
2号店の福岡大池店は住宅街に立地する。そして3号店の八王子八日町店は、JR八王子駅近くに立地する。
それぞれ、日中は主婦層の購入が多く、夕方以降は主婦層に加え、サラリーマンの購入が増えるという。現時点でどの立地が最も売れ行きがいいのか。
「想定以上の売り上げを見せているのは、3号店の八王子八日町店です。店舗前に横断歩道があり、立ち止まった通行人の目に留まりやすいようです」(小島さん)
八王子駅周辺にはもともと、リンガーハットが2店舗あったがコロナ禍も影響しいずれも退店。これらの店舗の固定客も、自販機専門店に足を運んでいる可能性があるという。
小島さんは「3店舗の環境の違いや、ニーズを詳しく調べながら専門店の設置を拡大していきたい」と意気込む。
同社はこの冷凍自販機事業について、産業競争力強化法に基づく「事業適応計画」を農林水産省に提出。22年7月に「経済社会情勢の著しい変化に対応して行うもの」との要件を満たすと認定され、税制優遇措置を受けられるようになった。
同社は、計画の最終年度となる25年度に「冷凍商品自動販売機の売上高が全体の売上高の1%以上となることを目指す」との目標を掲げている。22年2月期連結決算をあてはめると、3億円を上回る額になる。
コロナ禍を経て、冷凍自販機の専門店という新たな形態に挑むリンガーハットの取り組みは、奏功するか。多くの外食企業が行く末を注視している。
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