ホテルでの導入は22年から本格的にスタート。現在全国48店舗のホテルがTABETEを導入し、ブッフェで余った料理やパンを、弁当や詰め合わせで販売している。弁当の場合は1日あたり5〜10個程度販売。価格はワンコイン前後だという。
「秋葉原ワシントンホテル」などの運営を行う藤田観光(東京都文京区)では、コロナ禍で中止していた朝食ブッフェ再開のタイミングでTABETEを導入した。ブッフェで余った料理を弁当に詰めて販売し、導入した21年12月〜22年1月末の約2カ月間で約100キロの食品ロス削減に成功している。
導入にあたって最も苦労したのが「衛生面」での安全性確保だ。
「衛生基準を厳しく設けているホテルが多く、藤田観光さまも『一度提供した料理は再度提供することができず、梅干しでも漬物でも廃棄』というルールがありました。そのため、客数によって作る量を調整したり、料理を小鉢に移したりしていたそうです」
「食品ロス削減のために衛生ルールを見直し、TABETEであれば再提供可能と改定。2時間以内に召し上がってもらうこと、ナマモノを除くこと、アレルギー表示をすることなどをルールとし、保存方法も工夫しました」(篠田さん)
他のホテルでも、提供前に再加熱することで菌が発生しないように工夫するなど、衛生面の安全性確保に努めているという。
「ホテル ザ セレスティン東京芝」を運営する三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)では、ブッフェで余ったパンの詰め合わせを500円、弁当を600円で販売。パンは90%以上、全体でも50%以上の食品ロス削減に成功している。
購入者は周辺地域の住民が多いという。弁当を購入したことをきっかけにブッフェに通常来店する客もおり、新規顧客の発掘にも貢献している。
また、自信を持って作った料理が大量に廃棄されることはつらいと感じていた料理人、従業員の心理的負担が軽減。現場の食品ロスに対する意識が高まることも評価されているという。
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