リテール大革命

高級ホテルブッフェの残り、弁当で提供 2カ月で100キロの食品ロスを削減できたアプリ「TABETE」とは?「値下げ前提」に警鐘(4/4 ページ)

» 2023年01月16日 07時00分 公開
[大村果歩ITmedia]
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クリスマスケーキ1300食、約650キロの食品ロス削減に成功

 TABETEでは恵方巻やバレンタインのチョコレート、クリスマスケーキなど、季節の行事における食品ロス削減にも取り組んでいる。22年のクリスマスは「クリスマスレスキュー大作戦2022」と題し、12月25〜28日の4日間、ケーキや焼き菓子の廃棄削減を目指した。

 その結果、約1300食、650キロの食品ロス削減に成功。ホールケーキやブッシュドノエルなど多くの商品が“レスキュー”された。21年に同様の取り組みをした際は120食程度だったため、10倍以上に増加した。

フードロス クリスマスレスキュー大作戦2022の内訳

店頭値下げではない選択肢

 TABETEを導入する企業の中には、外資系ホテルや高級ケーキ店など、ラグジュアリーブランドも多い。ラグジュアリーブランドはブランディングの観点から値下げなどの取り組みはしない企業が多いが、なぜTABETEは選ばれるのか。

 「特別な日に食べるケーキや、高級感のあるラグジュアリーブランドは、イメージが下がる危険性があるため、あまり値下げはしない傾向にあります。TABETEの場合、値下げサービスではなく、食品ロス削減アプリであり、エシカル消費を推進することを目的にしているため、多くのブランドから共感を得て、導入されています」(篠田さん)

フードロス ダロワイヨジャポンが提供する「パンの詰め合わせ」

課題は「店舗数」 今後は小売りにも拡大

 現状の課題は導入店舗数がユーザー数に対して少ないこと。65万人のユーザーは食品ロス削減に意欲的なのにもかかわらず、利用できる店が足りていない。また、全国で展開しているが、都心部以外で利用できる店舗はまだ少ない。導入店舗が少ない背景には、「TABETEを導入しなくても店頭で値引きをすればいい」という店舗側の考えが影響しているという。

 「最近では、『賞味期限が近いんだから安くするのが当たり前』と思われてしまうことが多いのが現状です。消費者も事業者も値引きを当たり前だと認識しています。店頭値引きをしてしまうと、その時間を狙ってお客さまが来店したり、定価で買うはずだった人が値下げしたものを購入してしまうなど、売り上げが下がってしまうこともあります」

 では、TABETEの導入で、これらの点はどのように改善されるのだろうか。

 「TABETEはアプリ上で全て完結するため、店では“見えないところで値下げ”をします。TABETEの利用者は新規顧客であることが多いため、追加の売り上げになります。また、店頭値下げをしない分、既存客は定価で購入するため、日販の底上げにもつながるのです」

フードロス 木村屋總本店が出品する「パンの詰め合わせ」

 「今後は現状利用の多い中食、ホテルに加えて、コンビニやスーパーなどの小売りでの導入にも挑戦したいです。総菜や生鮮だけではなく、調味料なども含めて全般をカバーできるようにしたいと考えています」(篠田さん)

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