あえて値下げで売り上げ4割増──沖縄発「やっぱりステーキ」の戦略的値付けと幸運(1/2 ページ)

» 2023年01月21日 07時05分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 各社で値上げラッシュが続く中、一部であえて値下げに踏み切る企業が出てきている。今回紹介するのは、ディーズプランニング(沖縄県那覇市)が展開する沖縄発祥のステーキチェーン「やっぱりステーキ」。都内を含め、全国で92店舗を展開する同店では、2022年10月から看板メニューの「やっぱりステーキ」(ミスジステーキ、150グラム)の価格を1400円から1200円に値下げした。なぜ値下げすることができたのか。狙いと理由を聞いた。

photo やっぱりステーキの店舗

 やっぱりステーキは15年、1号店がオープン。「1000円でお腹いっぱい、毎日でも食べられる沖縄ステーキ食堂」をコンセプトに、厚みのある赤身肉を主体としたステーキメニューを提供している。相次ぐ原材料価格の高騰を背景に、同社は22年10月にメニューのセット内容や肉のグラム数を減らすなど、実質的な値上げに踏み切った。

 一方で、最も人気が高いミスジステーキを200円値下げした。コロナ禍で、外食の機会が減少傾向にある中、「一人でも多くの人に美味しいステーキで元気になってもらいたい」という思いからだった。

photo やっぱりステーキのメニュー
photo 値下げしたミスジステーキ

 同社のミスジステーキは、いわゆる軟化剤や浸け込みといった技法ではなく、一本一本丁寧にスジ取りをして下処理を行うなど創業以来から続く店内での手作業での仕込みにこだわり、柔らかさと赤身肉ならではの味わいを実現している。運営元の自信作である上、来店者からの人気が高い看板メニューを値下げすることで、新たな利用者が来店するきっかけを提供している。

photo やっぱりステーキのこだわり
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