ニチバンが「お客様相談室」の改革を進めている。情報共有などの面でデジタル化を推進し、応対品質の向上に努めた結果、「エスカレーション(一次対応できない電話を責任者に引き継ぐこと)」を大幅に減らせたという。
具体的にどういった点を変えていったのか。同社お客様相談室長の木村隆行氏に話を聞いた。
同社では「セロテープ」などの文具だけでなく、救急絆創膏(ばんそうこう)の「ケアリーヴ」、野菜を結束する「たばねら」など幅広い商品を扱っている。一般ユーザーだけではなく、看護師、農家、ドラッグストアの従業員などからの問い合わせも多い。問い合わせは電話もしくはメールで受け付けており、その総数は年間で約1万1000件だという(2021年度の実績)。
相談室には6人のスタッフがいるが、全て同社の正社員だ。正社員だけで運営しているのは、専門的な内容を分かりやすく説明したり、デリケートな情報を適切に扱ったりするためだという。
顧客から寄せられた情報は、毎月開催される報告会で共有する。同社の社長、各分野の営業責任者、開発責任者、工場の品質責任者などが参加する。木村氏は、「苦情だけではなく、『この製品を使ってよかった』というお褒めの言葉を伝えるようにしています」と説明する。例えば、傷あとのケアテープ「アトファイン」を使っているユーザーの「助かっている」という声を紹介したことがあるという。これは、製造現場で働く従業員のエンゲージメントを高めるのが目的だ。工場にはお客様相談室や営業担当者から苦情が寄せられることも多いが、自社製品が役に立っているということを実感してもらっている。
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