エクセルやデータ分析は得意とする人がいる中で、一定数拒否感を覚える社員もいたのではないか。社員のモチベーションを醸成し、データ活用経営を浸透させた背景には3つのポイントがあるという。
1つ目は「データに強い社員を育成し、研修の講師を任せた」こと。外部から講師を招いて“勉強会”をするのではなく、社員の中からデータに強い人材を育成し、教育を任せた。また、社内データを用いて研修し、より現場・店舗の運営に密接な状態で学べるようにしている。社員が講師なので、教わる側も親近感を持って質問ができたという。
2つ目は、「研修に経営陣・社長も一緒に参加した」こと。
「社長自らが『今の部分が分からなかったから、もう1度教えてください』などと質問している様子を見て、社員は『社長もできないのか』と安心感を持つことができたようです」
「『データドリブン』『DX』などの言葉が流行していますが、なかなか社内に浸透しないという企業は多いと思います。(1)外部の人を招かず、レベルが低くても良いから内部でカリスマ的分析官を育てる(2)社長・経営層が自ら学ぶ――2点が、社内でデータ活用経営やエクセル研修が浸透した理由だと考えています」(林さん)
3つ目は、「給与100万円アップを実行」したこと。実際に5年間で全社員の年収が100万円以上上昇している。林さんは「お金で釣ったんです」と笑って説明する。
「データ活用をすることで店の在庫が最適化されて、新たな客層の来客につながれば、売り上げは伸びていきます。そのためには、今エクセルの研修を頑張らなきゃいけない。結果が出る前に、100万円ベースアップを行うことを約束しました」
「やれというだけで給与に反映しない企業や、支給があっても条件付きが多い中で、年収を100万円上げるのはなかなか珍しいのではないでしょうか? やる気がある企業は、ここまでしなくては変わらないですよ」(林さん)
“上司の勘”から“数字で語る”社風へと変化を遂げたワークマン。後編では、データ活用によって商品を改善し、客層を拡大、売り上げを向上させた仕組みについて紹介する。
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