このまま中国にリチウムイオン電池やEVの主導権を握られてしまうのは、日本を含む自動車先進国にとって深刻な問題となってしまう恐れがある。しかし日本にはまだ対抗策が存在する。
なぜなら同じような状況は、過去にもあったからだ。それはレアアースの輸出規制である。尖閣諸島で中国漁船が海上自衛隊の護衛艦に体当たりし拿捕(だほ)した報復措置で、ネオジム磁石の原料となるジスプロシウムの日本向け輸出を停止させたことだ。理不尽な報復に政府が抗議するとともに、日本企業はレアアースの使用量を削減した高性能モーターを次々に開発し、中国側を慌てさせたのだ。
対リチウム政策としては、リチウムイオン電池に代わる次世代電池の開発を急ぐしかない。それはナトリウムイオン電池だ。目下、世界中の電池技術者が開発を続けており、中国のリチウム電池大手CATLはリチウムイオン電池と組み合わせることで実用化し量産を開始している。
日本も開発レベルとしては世界トップクラスにあるが、まだ製品化できるのは小型のバッテリーパックレベルであり、EVの駆動用バッテリーとして使えるほどの大容量で安全性の高いモジュールの量産は難しいようだ。
しかし実用化できれば海に囲まれた日本では「ナトリウムは無尽蔵」とも言えるので、リチウム枯渇問題は解決できるし、リチウムの採掘や精製時における環境問題もクリアーできる。国がさらにバックアップを強化して、実用化を加速させればリチウム利権など吹っ飛ぶことになるのだ。
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