マーケティング・シンカ論

『アイマス』責任者が語るコンテンツの長期化戦略 新規事業で最も大切なこと600億円超の推定売上(1/3 ページ)

» 2023年02月09日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 バンダイナムコエンターテインメントは2022年12月26日、東京・芝にある本社で「PROJECT IM@S カンファレンス」を開いた。同社の主要IP(知的財産)である『アイドルマスター(『アイマス』)』シリーズの今後の戦略について、主にビジネス向けに発表したものだ。

 カンファレンスでは、23年は『アイマス』シリーズで2本のテレビアニメ展開が予定されていて、「アニメイヤー」であるということ。『アイマス』シリーズの1作品である『アイドルマスター シャイニーカラーズ』と環境省との協働、そして『アイマス』シリーズのフェーズ3に相当する「PROJECT IM@S 3.0 VISION(3.0 VISION)」という新戦略が発表された。

photo 「PROJECT IM@S カンファレンス」ロゴ

 「3.0 VISION」では、ユーザーに対してより強固な「複合現実」空間を提供していくとしている。『アイマス』シリーズのアイドルたちの活動の可能性の拡大を目的とするMRプロジェクト推進の一環として、動画配信プラットフォームで、ライバー(配信)活動を通して展開していく新アイドルコンテンツ「PROJECT IM@S va-liv(ヴイアライヴ)」が新たに発表された。

photo 「PROJECT IM@S 3.0 VISION」ロゴ

 他にも、同社の公式エンタメコマースサイト「アソビストア」や自社配信プラットフォーム「ASOBISTAGE(アソビステージ)」の機能とも連動した、Web3.0型バーチャル拠点を創出する新ポータルサイト「アイドルマスター ポータル」をリリースした。

 『アイマス』シリーズは05年にリリースされたアーケードゲームに始まる。以来17年以上に渡って続いているコンテンツで、10代から上は50代からまで、幅広い年代にファンがいる。『機動戦士ガンダム』シリーズ同様、さまざまな派生作品が誕生しており、現在5作品(ブランド)で展開している。

photo PROJECT IM@S 3.0 VISION イメージPV 1

 『アイマス』シリーズの売上推定総額は100社以上のパートナー企業も含め、19年度で600億円以上にのぼるとされる。

展開されている累計楽曲数は1300曲以上で、22年は全国のドームやアリーナなどで30公演以上の音楽ライブを開催。オンラインを含め計65万人の観客が動員されているという。

 これは『アイマス』シリーズ5作品の合計値であるものの、この年間65万人という数字は、同じ22年の「乃木坂46」の36公演53.4万人、「Sexy Zone」の34公演58.5万人、「Mr.Children」の14公演63.8万人を超える規模だ(いずれも日経エンタテインメント!調べ)。

 『アイマス』がバンダイナムコを代表する人気コンテンツであり続ける秘訣(ひけつ)は何か。どのようにユーザー層をアップデートしているのか。『アイマス』プロジェクトの全体を統括する、バンダイナムコエンターテインメント第3IP事業ディビジョン765プロダクションの波多野公士ゼネラルマネージャーに聞いた。前後編でお送りする。

photo バンダイナムコエンターテインメントの波多野公士ゼネラルマネージャー
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