#SHIFT

「Z世代が育たない」「いつまでおだてればいいの?」と悩むリーダーに欠けている“覚悟”河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/4 ページ)

» 2023年02月10日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

「働かさせられている」から「自分が働く」へ

 A社の取り組みを紹介しましょう。

 A社では就業規則検討委員会を設置し、若手社員にこれまでの就業規則の見直しをしてもらいました。

 就業規則とは、働かせ方・働き方ですから、若い社員にとって「もっとも身近な問題」です。そこで彼らに自主的に考え、彼らの目から見ておかしいと思う点、こういうのがあった方がいい点などを考えてもらいました。

 同時に、就業規則は「全社員」のルールですから、彼らのやり方が「全社員」にとって、さらには「会社」にとって、価値あるルールか? そうなるためにはどうすればいいのか? を考え、具体的に動き、「New 就業規則」を作成してもらったそうです。

 ゴールは「企業価値の創出」です。社員一人一人の成長と会社の成長を、会社が決めるのではなく「社員」に考えさせた。会社が決める働き方から、社員一人一人が決める働き方を実現したのです。

「働かさせられている」から「自分が働く」に変化させるため、就業規則検討委員会を設置し、若手社員にこれまでの就業規則の見直しをしてもらった(提供:ゲッティイメージズ)

 どのようなものが出来上がったかは、残念ながら教えてもらえませんでした。しかし、社員が主体的かつ自律的に動くことは、社員の帰属意識の向上に役立ちます。

 「働かさせられている」という受け身の感覚が、「自分が働く」という意思に変われば、会社の本来の意味であるCOMPANY=パンを一緒に食べる仲間になる。「現場で学び、現場で悩み、現場で熱くなる!」経験を、「就業規則を作る」という作業を通して社員にさせたのです。

 若手がすぐにやめてしまう、若手がやる気がないようにみえる、若手が主体的に動かない、といった悩みを抱えるリーダーは、ぜひA社のケースを参考に、「私たちのやり方」の知恵を絞ってほしいと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.