決算書から日本経済を読み解く本連載。今回は楽天を取り上げます。
同社は楽天モバイルの投資で苦しい状況にあり、無料プランを廃止したり、社員には契約ノルマが課せられているという報道もありました。また、楽天モバイル店舗の撤退が続いていることも話題になりました。
今回はそんな楽天がどのような状況にいるのかをモバイル事業を中心に見ていきましょう。
ここ数年の売り上げは大きな成長を続ける一方で、楽天モバイルが事業を開始した2019年10月以降では、利益面は大きな赤字が続いています。楽天モバイルへの投資の負担の大きさが分かります。
続いて22年12月期の通期の業績から、楽天の現状を見ていきます。
売上高は前年同期比14.6%増の1兆9278億円に。営業利益は赤字が拡大し、2126億円の赤字から4078億円の赤字へ。純利益も1338億円の赤字から3728億円の赤字へと、売り上げは増加しつつも赤字幅は拡大しており、利益面では苦しい状況が続いています。
直近の第4四半期単体(22年10〜12月)の業績を見ていくと、売上高は14.6%増、営業利益は864億円の赤字から768億円の赤字と、直近においても増収は続きつつも大きな赤字が続いています。しかし赤字幅は縮小し、一定の収益性の改善が進んでいます。
大きな赤字が続いている要因は、ご存じの通り楽天モバイルへの投資です。主力事業の4Q単体の業績を見ていくと、
となっています。
主力の国内ECやフィンテックは増収増益です。主要なKPIを見てもECの流通総額は12.3%増、楽天カードの取扱高は25.8%増、楽天証券の口座数は21.1%増、銀行の口座数は13.3%増と、楽天モバイルを除けば大きな成長が続いています。
大きな赤字を記録している楽天モバイルは、同社の今後の業績を考える上で大きなファクターです。
そもそも、楽天はなぜ格安のモバイル事業を始めたのでしょうか。
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