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世界一“休みベタ”な日本人 「WBC休暇」がこれほどまで喝采を浴びたワケ働きやすい職場とは(1/3 ページ)

» 2023年03月23日 06時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 平日の午前、多くのオフィスで歓喜の声が上がった。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝で、日本は米国を3−2で破り、2009年の第2回大会以来14年ぶり3度目の優勝を果たした。

 “仕事そっちのけ”で中継を見守った人も多かったのではないか。そんな中、試合時間に合わせて午前を休みにする「WBC休暇」を複数の企業が取り入れ、大きな話題になった。世界一“休みベタ”とされる日本人だが、企業が率先して「WBC休暇」を導入したことの意義とは何なのか。

企業が率先して「WBC休暇」を導入したことの意義とは(トゥモローゲートのプレスリリースより)

 「改めて休みにしてよかったです。役割を全うする、仲間を信じる、最後まで諦めない、たくさんのことを学ばせてもらった」

 大阪市のコンサルティング会社「トゥモローゲート」の西崎康平社長は3月22日の試合終了後、こうSNSに投稿した。同社は、スポーツ観戦による社員同士のコミュニケーション活性化や業務への活力向上を狙い、同日午前を「WBC休暇」にした。全社員46人のうち、8割を超える38人が休暇を取得し、このうち約20人がオフィスの大型スクリーンで試合を観戦した。

「感動のインプット大切」

 東京都新宿区のウェブマーケティング会社「デジマケ」も同日午前を「WBC休暇」にした。社員8人全員が休暇を取得。社員はオフィスに集まって観戦し、遠方からリモート勤務する社員はオンラインで参加したという。

 代表取締役の西畑大樹さんは、「選手一人ひとりが役割を全うし、緊張感ある舞台でプレーを楽しむ姿から社員が得られる学びは大きく、業務にも生かせると考えた」と導入の経緯を語る。

決勝戦をオフィスで観戦するトゥモローゲートの社員ら(西崎社長のTwitter投稿より)

 名古屋市のイラスト制作企画会社「LiverCity」も、同日午前を「ペッパーミルポーズの日」として休暇に。社員8人全員が取得したという。担当者は「日頃、お客さまの心を動かす仕事をしている当社にとって、感動のインプットは大切。WBCのような筋書きのないプロスポーツはその機会にうってつけであると考えた」と説明する。

 社員からは「村神様が打てるように祈りながら観戦した」との声や、中には野球に関心のない社員もいたようで「スラムダンクの映画を観に行きます」と話す社員もいたという。

LiverCityが社員に通知した「ペッパーミルポーズの日」(同社提供)
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