明治政府下では、西洋の法体系に基づいた制度整備も進んだ。企業ロゴなどの商標権もその対象になった。当時の経営トップである4代目又左衛門が考案したのが、現在も使用されているロゴだった。
創業家の家紋をアレンジしたデザインで、3本線を「ミツ」、丸を「カン(環)」と呼び、ミツカンになったという。当初は違うデザインを登録しようとしたものの、別の企業に先を越され、申請を断念したというハプニングにも見舞われる中、1887年に商標登録。翌88年からは全国各地を巡り、新マークのお披露目会を開催した。特に東京では、現在の貨幣価値に換算して億近い金額をかけ、歌舞伎座を貸し切ったイベントを行うなど周知を進め、現在に至る。
同社の公式Webサイトの情報によると、3本線はお酢の命といわれる「味」「きき(酸っぱさ)」「香り」を表わし、下の丸はそれらを「丸くおさめる」という意味が込められているという。
ジュビロ磐田とのスポンサー契約を巡っては、英アドミラルのロゴデザインとの酷似が、Twitterでいい意味での騒動になった。似ているからという理由で対立するのではなく、交流のきっかけとし、スポンサー契約まで締結した点にも、ロゴに込められた「丸くおさめる」という思いが反映されているのではないか。
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