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ロッテのESG戦略 ブロックチェーンでチョコレートの児童労働撲滅へトレーサビリティを一括管理(1/3 ページ)

» 2023年04月07日 05時39分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 暗号資産をはじめ、データの秘匿性と信頼性を支えている暗号化技術のブロックチェーン。このブロックチェーン技術によって多様なビジネスが誕生している。

 複製不可能な特性を生かした「NFT(非代替性トークン)」による投資も広がってきた。このブロックチェーン技術を投資目的ではなく、企業のSDGs活動に役立てようとする動きも進む。

photo ロッテは、ブロックチェーン技術を用いたガーナ産カカオ豆のサプライチェーンのトレーサビリティ(追跡性)向上と、児童労働リスク改善に向けた実証実験を始めた

 大手菓子メーカーのロッテは、ブロックチェーン技術を用いたガーナ産カカオ豆のサプライチェーンのトレーサビリティ(追跡性)向上と、児童労働リスク改善に向けた実証実験を始めた。実証実験には日本から三井物産のほか、ドバイに本拠地を置く商社「ETC Group Limited.」、ブロックチェーン開発企業としてカナダの「DLTラボス」が参画している。

photo ロッテの牛膓(ごちょう)栄一社長
photo 三井物産のほか、ドバイに本拠地を置く商社「ETC Group Limited.」、ブロックチェーン開発企業としてカナダの「DLTラボス」が参画

 ロッテは国内有数のチョコレートメーカーとして知られ、2021年度のチョコレート菓子の国内シェアは19.5%で2位につけている 。三井物産などを通じてカカオ豆を年間5万1000トン調達していて 、このうちおよそ8割をアフリカのガーナ産が占めているという。

 そしてこのカカオ豆を調達する上で企業を悩ませているのが、そのカカオ豆がどのように生産されているかという点だ。世界のカカオ豆の約7割がサハラ以南の西アフリカで生産されている。このサハラ以南のアフリカで特筆される社会問題が児童労働だ。

児童労働者の92.2%が「危険有害労働」

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