新横浜駅も大宮駅も、県庁所在地の自治体にありながら県庁の近くにある駅ではない。地域の行政の中心地は、別にある。「横浜駅VS. 浦和駅」という構図があっても、おかしくはない。
横浜駅は横浜市の中心駅として、JR東日本、私鉄、地下鉄が乗り入れているのに対し、浦和駅はJR東日本のみである。以前は、中距離電車以上は浦和駅を通過するのが当たり前だった。横浜駅が以前からずっと主要駅だったのに対し、浦和駅は主要駅でないままである。新横浜駅がこのところ存在感を大きくしてきたのに対し、大宮駅は大きな存在感を示し続けてきた。
つまり東京のサブターミナルとして、大宮駅は「先輩」なのである。しかし、新横浜駅はぐんぐん成長してきた。鉄道そのもの以外でも、JR東海は駅ビル「キュービックプラザ新横浜」を08年3月に開業した。駅周辺にもさまざまな商業施設ができ上がっていく。
対照的に大宮駅周辺は、以前から商業施設が集まっており、予備校なども浦和ではなく大宮に校舎を設ける傾向が強かった。大宮はいろいろと集積していたのだ。
コロナ禍前の1日当たりの乗車人員(18年度)を見ると、新横浜駅ではJR東日本が3万4095人、JR東海が6万5768人、横浜市営地下鉄が3万7162人。大宮駅ではJR東日本在来線が25万8108人、同新幹線が3万535人、東武アーバンパークラインが6万8620人、埼玉新都市交通は2万4137人となっている。
利用人数では大宮のほうがはるかに大きい。だが、新幹線の利用者だけを見ると、新横浜のほうが上なのである。新横浜は、旺盛な利用者数を誇る東海道新幹線の全車停車駅だけあって、新幹線の一大拠点となっているのだ。ちなみに、同時期の1日当たりのJR東海東京駅乗車人員は10万4451人。この数字を見ると、新横浜駅は結構がんばっていると言えるのではないか。ちなみに、JR東日本の東京駅新幹線乗車人員は7万9991人だ。
19年度以降、コロナ禍で駅利用者が減ったこともあって、いまのところ相鉄・東急直通線を評価することは難しい。新幹線のサブターミナルとしての新横浜駅は、鉄道利用者が完全に戻った状態で、本来の利用者数が出てくるのだろう。それは、これまでの利用者よりも大きな数字になるはずだ。
JR東海にせよJR東日本にせよ、それぞれの駅をビジネス戦略に組み込んでいるはずだ。利用者が多いこの2つのサブターミナルを、各JRはどのように位置付けているのだろうか。
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