1990年に開業した大阪市港区の海遊館。悠々と泳ぐジンベエザメなどを目当てに多くの人が訪れる。11種20アイテムをそろえるぬいぐるみの中で人気なのはやはり、ジンベエザメだ。
2022年から販売する「ぬいぐるみエラ付ジンベエザメ(オス・メス)」(長さ50センチ、3630円)は飼育員が監修し、ジンベエザメのエラ穴などを忠実に再現。開発には約4年かけたという。
担当者は「細部までこだわったぬいぐるみは、生き物を間近に観察できて、もっと知ってもらえるアイテムと考えています」と話す。
このほか、2017年から販売する「ぬいぐるみアザラシ(S・M)」も人気商品だという。
同館ではこだわりのぬいぐるみをアピールするため、来館者とのコミュニケーションを重視しているという。例えば、メスのジンベエザメのぬいぐるみを手に取った利用者には「オスもあります。違いは○○です」などと説明し、より広く知ってもらうことを心掛ける。
「水族館におけるぬいぐるみなどのグッズは、水族館の価値提供の延長。展示の理念と結びついている必要があり、いわば教育機能の一つといえます」
こう話すのは、水族館の運営に詳しい帝京科学大学の原澤恵太・非常勤講師だ。
経営の観点からみれば、ぬいぐるみは、見るたびに水族館の思い出を想起させリピートを促す効果が期待できる。また、ぬいぐるみは水族館の外に出てからも続く価値提供の一部として、展示の理念などが反映されている必要があるといい、飼育員による監修などを経て忠実に再現されたアイテムが増えているのは「教育の一環としても非常にいい傾向」だと原澤さんは話す。
近年は、展示で海洋汚染の問題や自然保護の重要性を伝え、グッズにもエコバッグなど環境に配慮したアイテムを取りそろえる水族館が増えてきているという。「メッセージの一貫性があり、行動変容を促すようなアイテムづくりが水族館にとっては重要」だと原澤さんは指摘する。
かわいさだけを売りにしているわけではない水族館のぬいぐるみ。各館こだわりのアイテムをよく観察すると、それぞれの水族館が伝えたいメッセージが見えてくるかもしれない。
「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」家具大手ぬいぐるみ なぜ人気?
刺身に電気を流して「アニサキス」撲滅 苦節30年、社長の執念が実った開発秘話
1泊400万円超も 「超高級」外資系ホテル、日本に続々初進出のワケ 専門家に聞いた
回転寿司の「迷惑行為」なぜ起きる? 専門家が指摘する「機械化の弊害」とは
配膳ロボット、1台より2台で謝罪したほうが「許せちゃう」のはなぜ? 実験結果がおもしろいCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング