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推定年収ランキングから見る、「40歳で男女とも高収入」企業の特徴1位は2000万円超(6/6 ページ)

» 2023年05月01日 07時00分 公開
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商社は海外勤務がネックか

 男性編にはランクインした一方、女性編では30位以内に入らなかった日系商社は海外への出張や駐在について、女性社員から両立の難しさを指摘するコメントがありました。

 「いつ海外駐在の辞令が出るか分からないためライフプランを立てづらい。夫も海外駐在の可能性がある場合、女性がキャリアを諦めることも多いのではないか」(コーポレート、女性)

 「入社4〜6年目に海外に出ることが前提となっている風潮を見ると、30歳前後で海外に出ないという選択肢はまだまだ選びづらい。子どもの出産・育児を考えると仕事との両立は難しい印象であり、特に海外の研修・駐在タイミングは非常に悩みどころである」(総合職、女性)

 「(女性が)働きやすい環境であれば、もっと女性(特に中堅以上)が多く在籍していてもおかしくないと思う。事実として、在籍が少ないということは改善すべき部分が多いのでは」(営業、男性)

 福利厚生などの制度は充実しているものの、男性社員から「まだまだ男性中心」を自覚する声もありました。こうした企業では、妊娠や出産など女性のライフプランを加味したキャリアパスの用意や多様なロールモデルが不足していることが考えられます。結果的に、女性が長く働くことができず、女性管理職も育ちにくくなっているのかもしれません。

 男女の賃金格差解消に向け、政府は女性管理職の比率を「2030年までの可能な限り早期に30%程度」までとすることを目標としています。一方、帝国データバンクが企業を対象に実施した調査(22年)では、「自社における管理職に占める女性の割合」は平均9.4%でした。

 政府が掲げる目標達成までの道のりは長いですが、今回のランキングの上位企業では「女性管理職が増え続けている」といった声も多数寄せられました。このような企業では、「(女性の)ロールモデルに困ることはなく、どの分野にも先駆者がいる」などの声もあり、リーダー層に女性が多いことを他の女性社員が心強く感じていることがうかがえます。

 性別に関係なく働きやすいことが理想ですが、社員クチコミを読むと男女で働きやすさの感じ方に違いがあることが分かりました。環境、社会、ガバナンスに配慮した企業を選別し、投資をする「ESG投資」が世界的に注目される中、ダイバーシティの推進や女性が働きやすい環境づくりに取り組むことは経営上、重要な課題です。

 また、子育てや家庭との両立は女性だけの問題ではありません。時間をかけて育てた人材の流出を避けるためにも、企業の管理職やリーダー層は、誰もが柔軟に働ける環境や制度を整えた上で、社内での浸透や社員が相談しやすい組織づくりにも配慮が必要と言えそうです。

 仕事と家庭の両立を求めて転職を考える人にとっては、福利厚生や働き方に関する制度の有無だけでなく、実際にどのように運用されているかも大切な視点です。例えば、フレックスタイム制を導入している企業では時間の使い方は社員一人一人異なります。自分の理想と近い働き方をする社員がいることが分かれば、その企業で長く働くイメージや具体的なキャリアの目標も立てやすくなるのではないでしょうか。

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