厚労省のWebサイトでは、合わせて解説動画も公開し、周囲の人を怖がらせたり、迷惑をかけたりする行為は「威力業務妨害罪」に該当する場合があることを指摘。悪質なカスハラがあった場合、企業は生じうる危険から労働者を守ることが求められるとして、
(1)労働者に1人で対応・判断をさせないこと
(2)拙速に解決を急がず、問題に向き合うこと
(3)上司や同僚に早めにSOSを出すように日頃から周知すること
――を呼び掛けている。防犯カメラによる記録・録画が犯罪を抑止し、顧客対応をする従業員に安心感を与えるとも説明している。
サイト上ではカスハラ被害だけでなく、就活ハラスメントやマタニティハラスメント(マタハラ)などの被害を疑似体験できる動画も用意している。
就活ハラスメントの動画は、就職活動中の女性の視点から撮影し、2人の男性面接官から「付き合ってる男性はいますか」「結婚や出産をしても働き続けますか」――と、プライベートについて問われる内容になっている。
動画は、こうした質問はセクシャルハラスメントにあたる可能性があるほか、女性にだけ結婚や出産後も働き続けられるかと質問することは男女雇用機会均等法違反となることを指摘する。
男性の就活生が、志望企業の社員から「社会人になって結婚もできない男は、出世もできないからな」「今夜、ガールズバーに行こう。女の子相手に、楽しく話をするのも営業トークのスキルを上げるトレーニングになるからな」――などと誘われる場面を描いた動画もあり、男性も就活ハラスメントの被害に遭っている事例を紹介している。
マタハラの被害動画では、周りの社員から「産休とか育休とか楽よね。働かなくてもお金がもらえるから」「子ども授かっておめでたいんだけど、育児休業とか取得するなら、次の昇進は難しいと思っておいてね」――などと声を掛けられる場面が描かれている。
動画では、こうした自社の就活ハラスメントやマタハラが報道されれば、企業の社会的信用が大きく低下し、顧客の減少、取引先の喪失、社員の意欲低下、採用活動にも悪影響を及ぼす――などと注意を呼び掛けている。
2019年6月に労働施策総合推進法が改正され、企業は、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられた。企業はこうした動画を活用するなどし、被害の発生を未然に防ぐ取り組みが求められている。
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