クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

トヨタ、ホンダ、日産「増益と減益を分けたもの」 大手3社の決算をじっくり解説池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/8 ページ)

» 2023年05月15日 08時52分 公開
[池田直渡ITmedia]

「増収減益」のホンダ、気になるのは販売台数のマイナス

 販売台数(対前期比):368万7000台(マイナス9.5%)

 売上収益(対前期増):16兆9077億円(2兆3550億円)

 営業利益(対前期増):8393億円(マイナス318億円)

 営業利益率(対前期増):5.0%(マイナス1.0ポイント)

 当期利益(対前期増):6952億円(マイナス118億円)

22年度の販売台数(出典:本田技研工業)

 ホンダは増収減益の決算となった。最初に気になるのは販売台数のマイナスである。これが一地域の問題なら、単純な市況の影響と見るところだが、日本が限りなく横ばいに近い微増である以外、全てマイナス。中でもやはり中国の落ち込みが大きい。

 もちろんこれはロックダウンの影響が大きいのだが、マイナス幅が大きすぎる。地域別販売台数を比較して見ても分かる通り、中国市場への依存比率が高すぎることが問題を大きくしている。せめて米国が良ければ救われたのだが、こちらもまた微減とは言い難いマイナス。台数ベースでホンダのマーケット構成で見れば、中国と米国市場が逆風だと他で挽回するのは不可能に近い。中国のシェア率が47.3%、米国が32.4%、合計で79.7%である。

税引前利益増減要因(出典:本田技研工業)

 では、利益増減の要因を見ていこう。左端が前期で右端が当該期の数字となる。これはもう分析するまでもなく「為替影響」以外の全項目でマイナス。運による為替を除く「経営の実力を問う」数字は総崩れの結果となってしまった。

 詳細を追っていくと、「売上台数、構成変化」が164億円のプラスになっているのは救い。また他社に比べて原材料費高騰の影響が少ない。またこの苦境の中、頑張ってCASE対応の研究開発費を増やしている姿勢は評価されるべきだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.