トヨタ、ホンダ、日産、自動車メーカー大手3社の2023年3月度の決算が出そろった。結果は三者三様。それぞれの違いが浮き彫りになる結果となった。
まずは当該期決算の背景となる経済事情から見ていこう。決算結果を大きく左右する要素は、円安と原材料価格の高騰。ご存じの通り、輸出が多い製造業にとって円安は強い追い風であり、為替差益が売り上げと利益を大幅に押し上げる。
一方で、コロナ禍をきっかけに始まり、収束が見えないばかりか深刻化してきた原材料価格の高騰は、製造原価を大幅に押し上げて、利益減につながる。この差し引き要素のどちらが強く出たかは大きな差につながる。
そういう意味では日本の自動車メーカーは、今回原材料価格の高騰という厳しい局面を、多かれ少なかれ円安に救われたという意味で「運が良かった」といえる結果になった。仮に原材料価格の高騰に加えて円高局面であったなら、大変なことになっていたところだった。
他の先進諸国に比べればマシとはいえ、わが国でも日々インフレが進行していく中で、暮らしが厳しくなるのは庶民としてはつらいところだが、日本の経済として見た場合、そこに救いがあったともいえる。
自動車産業は全製造業の出荷額の18.6%、全就業人口の8.3%を占める国の大黒柱である。インフレを跳ね返して賃金を上げていくルートが閉ざされないためには、自動車産業に外貨を稼いでもらわないと、所得が増えていく要素がなくなってしまうからだ。
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