なぜ人は「激安タイヤ」を買うのか アジアンタイヤの存在感が高まるリスク高根英幸 「クルマのミライ」(6/7 ページ)

» 2023年05月20日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

国産タイヤも安く販売

 いかに人件費が安く、原材料の調達コストも低いとしても、アジアンタイヤの安さは次元が違う。その安さを実現するには販売の現場に至るまでのあらゆる企業の工夫や努力がある。けれども国産タイヤを相場より安く販売しているところもある。

 筆者はタイヤの生産年月には、そこまで神経を尖らせることは必要ない、という考えである。1年くらいの倉庫保管で驚くほど性能が劣化することは、国産タイヤでは考えられないからだ。

 もちろん生産間もないタイヤのほうがゴムが柔らかく、路面に吸い付くような感触が得られやすいので、あの感覚を味わうために新品タイヤにこだわるドライバーの好みも理解できる。新しいタイヤは、路面に吸い付くように走ってくれるから、数字上の安心感だけでなく走っていても本当に気持ちがいい。

 だが新品タイヤ、それも国産タイヤであれば1〜2年程度倉庫で寝かせられていたタイヤでも性能面ではまったく遜色ない。それよりも長い期間使うことになるのだから。このように考えると、あえて売れ残りのタイヤをネット通販などで安く購入するのも、賢い購入方法と言えるのだ。

「タイヤは安ければいい」という考え方は改めたほうがいい

 また転がり抵抗が少ないタイヤは、摩滅も少ない傾向にあるようだ。従来であれば4〜5万キロで交換時期となるタイヤが、エコタイヤとなってからは明らかにタイヤの減りは少ないように感じる。

 すでに4万キロを走破した横浜ゴムのBluEarth(ブルーアース)は、タイヤ溝に細かなヒビ割れが生じているものの、静粛性や乗り心地には影響を感じさせないし、燃費性能も衰えている印象はない。減り具合から見ると6万キロは余裕で超え、7〜8万キロ走れそうな印象だ。これも国産タイヤを選ぶ価値の一つと言えそうだ。

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