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経営者が取り組む「人的資本経営」の第一歩 無形資産を可視化するために必要なことは?【新連載】会社全体で考える「人的資本」(1/4 ページ)

» 2023年05月26日 07時00分 公開
[古田勝久ITmedia]

会社全体で考える「人的資本」

人的資本経営といっても、経営者、人事担当者、投資家など、立場によってその取り組み方、考え方は異なるものだ。本連載では、株式会社タナベコンサルティングのエグゼクティブパートナー 古田勝久氏が、それぞれの立場に立った取り組み方を解説する。

 「会社全体で考える『人的資本』」第1回目は、経営者が取り組むべき事柄について解説したい。

 これまで「人」という経営資源については、単年度の損益計算書(PL)において人件費として管理することが一般的だった。そのため、経営の意思決定の場面では、人件費や教育研修費は1年単位で消費されるコストとして管理されてきた。

 しかし、近年ではタレントマネジメントへの関心の高まりや、従業員経験(EX:Employee Experience)重視の流れから、「人は重要な財産である」とするHuman Capitalの考え方が広まってきている。資源は利用すれば消耗する有限なものだが、運用の仕方次第でその価値を増大させることも減少させることもあり得るのだ。

人的資本経営 「人は重要な財産である」とするHuman Capital(人的資本)の考え方が広まってきている(画像提供:ゲッティイメージズ)

 「人的資本」という考え方では、数年の時間経過ののち、従業員をいかにして価値創造につながる資産とできるか(無形資産化)が重要だ。つまり、投資によって人的資本を高めることこそが、無形資産としての人材が新たな付加価値を生み出し、持続的な成長を実現させる「人的資本経営」への変革へとつながる。

 そのため経営では、1年単位ではなく3〜5年先に視点を置き、価値創造を実現できる人材や可視化されていないノウハウ・文化をできる限りデータに基づいて価値評価し、それらを資産として変換できるよう投資を積極化すべきである。

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