急増する居酒屋の倒産 このままでは「コロナ禍超え」の可能性も帝国データバンク調べ

» 2023年06月13日 07時00分 公開

 コロナの5類移行で活気が戻った居酒屋の倒産が急増している。帝国データバンクが実施した調査によると、1〜5月までに発生した居酒屋の倒産は88件だった。前年(61件)から4割増で推移しているほか、コロナ禍のダメージを大きく受けた20年(82件)と比べても多いことが見てとれる。このペースで推移すれば、23年の居酒屋倒産はコロナ禍直後の20年累計(189件)を上回り、過去最多を更新する可能性があるという。

photo 居酒屋の倒産が急増している(画像はイメージ、提供:写真AC)
photo 居酒屋の倒産件数推移(各1〜5月)(出所:プレスリリース、以下同)

 また、資本金が100万円に満たない零細居酒屋の倒産が約半数を占めているのも特徴だ。コロナ禍以降の本業不振から抜け出せない状況で、公的支援が相次いで打ち切られたことから資金繰りに行き詰まり、事業継続を断念したケースが零細居酒屋を中心に多く発生したことがうかがえる。

photo 資本金別 倒産件数割合

 行動制限の解除に伴い居酒屋への客足は戻りつつある一方で、食料品の値上げやアルバイト確保の人件費、電気代などが急騰しており、事業者からは「客足の戻りに比べて利益率は良くない」といった声が寄せられた。帝国データバンクは「コロナ禍では見えづらかった居酒屋の優勝劣敗が、ポストコロナの局面でさらに進みそうだ」と分析している。

 調査は、負債1000万円以上法的整理による倒産を対象に実施した。集計期間は23年1月1日〜5月31日。

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