「ディズニーのチケット、1万円は高すぎる」という発想が日本を貧しくさせたワケ(前編)スピン経済の歩き方(2/5 ページ)

» 2023年06月27日 10時24分 公開
[窪田順生ITmedia]

混雑しているのに1万円は高すぎる

 そんなファストパスがなくなってしまった今、アトラクションに長時間並びたくない人は昨年5月に導入した有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を利用しなくてはいけない。今夏には、一部アトラクションの待ち時間が短くなる無償パス「40周年記念プライオリティパス」が導入される予定だが、これは期間限定なので、いずれはおカネを払うしかない。つまり、「値上げ」だ。

「東京ディズニーリゾート40周年“ドリームゴーラウンド”」の様子(出典:オリエンタルランド)
「東京ディズニーリゾート40周年記念プライオリティパス」対象施設の一覧(出典:オリエンタルランド)

 そんなファストパス終了から約2週間後、今回の「1万円オーバー」の発表となった。ファンからすれば既に心の準備はできていたこともあって「ああ、やっぱりこっちも値上げするのね」という感じで、それほどショックを受けなかったというワケだ。

 ただ、そこは平均給与が30年間上がっていない「安いニッポン」である。この値上げに猛反対している方も少なくない。そういう中でかなり多く目につくのが「混雑しているのに1万円は高すぎる」という意見だ。

 例えば、昔のディズニーランドはそんなに混んでいなくて、1日たっぷり遊べて3900円(開園当初)で、良い思い出をたくさんつくれた。そのような主張をする人たちは、今は園内が異常なほど混雑していて、アトラクションもそんなに乗れないのに値段だけが高いと文句を言っている。

 また、海外のディズニーと比べて「割高」だと批判する人も多い。海外の施設は広大で、アトラクションも並ばずに乗れるので、入場料が高くても納得だが、日本のディズニーは快適ではないので、1万円の価値もないというのである。

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