今回の技術展の中で、もっとも関心が集まったのは、電池関連の技術に関する発表だろう。今後のBEVに搭載される電池として4種類もの次世代高性能電池を挙げ、それぞれの特性や発売時期を明確にしている。
まず26年に発売予定のBEVでは、従来のリチウムイオンバッテリーをより高性能化したパフォーマンス版とするものをパナソニックとの合弁会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズと共同開発して航続距離1000キロを実現するとしている。
これはもちろん電池の高性能化だけで実現するものではなく、電力を制御するPCUやボディの空力性能改善などによる走行抵抗や損失の低減も含めて到達するものだ。
実際には航続距離1000キロを必要とするユーザーは少なく、100キロ前後の移動が日常であれば6〜7割のバッテリーは使われることなく運ばれるだけのウエイトと化してしまう。つまり現時点での目標であり、インパクトのある数字を掲げているということも考えられる。
1日に1000キロクルマで移動するとなれば、合間の休憩時間に急速充電を行うこともできるので、より現実的なグレードも用意され、バッテリー搭載量の最適化は図られるだろうが、目標は高く掲げられるほうがいい。
次に登場すると予告したのは次世代電池の普及型と呼ばれるもので、最近普及してきたリン酸鉄リチウムイオン電池の進化版である。現在アクアに搭載しているバイポーラ型ニッケル水素電池と同じ、バイポーラ型とすることで、コストと航続距離を両立させるようだ。
リン酸鉄リチウムは、最近テスラがモデル3の廉価仕様に採用し、ポータブルバッテリーでも導入が進んでいる。特徴は素材が安価なことと、安全性が高いこと。サイクル寿命も長いと、いいことずくめのようなリチウムイオン電池だ。
ただし三元系と比べるとエネルギー密度は低いので、テスラは廉価グレードで航続距離が短い設定として、ポータブルバッテリーなどは大きく重い機種が目立つ。このエネルギー密度の低さをバイポーラ型とすることにより解決させよう、というのがトヨタの計画だ。
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