またパワー半導体の製造に乗り出し、手の内化するということも挙げている。パワー半導体を自社生産することは安全保障上のリスク軽減になるが、性能や品質面で他社に差を付けられるほどのアドバンテージにはならない。
結局は電動化についてもトヨタの全方位戦略の思想が反映されている、ということなのだ。電動化によって機械部品の生産量が減少することに対して、半導体生産で工場の部品生産量を確保する狙いもあるのだろう。
トヨタグループ全体で見れば、半導体の生産量はグループ内の供給だけでも十分なスケールなのだろうが、コスト競争力はそこにはなく、品質にはこだわっても車両価格を押し上げることになりかねない。
少々手厳しいことも書いてしまったけれど、これもトヨタのミライ、すなわち日本の自動車産業のミライがかかっているからこそ。水素や合成燃料に関しても意欲的な発表はあったので、これはまたの機会に語らせていただきたい。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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