トヨタが反転攻勢に出た? 「手遅れ」と言う人が知らない、真の実力と新たな課題高根英幸 「クルマのミライ」(1/7 ページ)

» 2023年06月29日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 6月13日、トヨタが現在開発中の電動化技術などを報道陣に公開した。「Toyota Technical Workshop2023」と銘打ったイベントで、最新技術のおよそ9割を明らかにしたのである。

 以前のトヨタであれば、おそらく発売直前まで秘密にしていたであろう。5年後に市販化を計画しているような技術を公開するのは、ライバル企業に手の内を明かすことになり、発売時にどれだけアドバンテージを残せるかリスクが伴う。

「Toyota Technical Workshop2023」を開催
350万台のBEVを販売をするには、170万台を次世代BEVが占める見通し

 だが2021年暮れに開発中のEV全車種をズラリと並べた記者会見でもわれわれを唖然とさせたように、最近のトヨタは以前と変わった。従来のトヨタであれば考えられない姿勢だ。そうさせたのはトヨタの危機感と、世の中の変化への対応だ。世論を味方につけることの重要性を、かつての米国での公聴会騒動でも学んでいる。

 ともあれトヨタは一定のマージンを保ってはいるものの、これまでより積極的に情報を発信してカーボンニュートラルを目指すさまざまな方法において、そのどれもが業界最先端の技術開発を最速のスピードで実現しようとしていることは伝わってきた。

 今年5月24〜26日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」では、電池関連の技術展示が少なく、トヨタグループ各企業の展示内容にも目ぼしいモノが見当たらなかったのは、この「Toyota Technical Workshop」のために発表を見合わせていたのも理由にありそうだ。

 どうせなら一気に発表して、よりインパクトのある内容を目指したのであろう。それは今回の内容と反響を見れば成功したと言っていい。

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