筆者から見て、今回の新規制において、最大の問題は速度上限が高すぎることだと思われる。見た目でも分かる通り、電動キックボードの小さい前輪は段差に極端に弱い。ホンダ・モンキーなどの例外的車種を別にすれば、第1種原付に該当するスクーターのホイールサイズはおおむね10インチ。しかも段差の衝撃を吸収するサスペンションが付いている。
電動キックボードのスペックを見ると“タイヤサイズ”10インチと表記されている。だがどう見てもスクーターと同じ車輪径には見えない。電動キックボードのシェアリング最大手であるLuupに問い合わせてみたところ、この10インチはタイヤ外径であって、ホイールサイズではない。
タイヤの厚みを引いた径がホイール径になるわけだが、ここのスペックは正確には分からない。おそらくタイヤの厚みは1インチ程度はあるはずなので、ホイール径にすれば8インチかそれ未満ということになるはずだ。
電動キックボードには、サスペンションがないか、あっても十分なストロークとは言えないケースがほとんどな上に、ホイールベースが短い。運転時の総重量の多くが人体の重量であることを前提にすれば、段差はもちろん、急減速時に適正な重心移動ができなければ、最悪の場合前輪を軸に車両ごと前転してしまう。
一般にサドルやシートがないぶん体勢を崩しやすいことを考えると、もしものときに体重の多くがハンドルにかかり前転のモーメントを作り出しやすいからだ。
だからこそ速度の上限は抑制的であるべきだと思っている。ここで速度上限の話をするのは、速度が上がると運動エネルギーはその二乗で大きくなるので、コントロールが難しいからだ。
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