「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。
昨今、NetflixやSpotifyなどさまざまなサブスクリプション型のサービスが世の中にあふれていますが、皆さんは「ホテルのサブスク」と聞いてピンと来るでしょうか。
「え、定額でホテルに泊まり放題?」と驚く方もいるかもしれませんが、最近では、東急が「Tsugi Tsugi」と呼ばれる定額制の回遊型住み替えサービスを事業化するなど、市場の伸びが期待される分野です。
ホテルのサブスクが注目された背景には「新型コロナウイルスでの旅行需要の落ち込み」があります。落ち込んだ需要を回復させたかったホテル側の事情と「旅行ができなくとも、自宅や近所で贅沢(ぜいたく)したい」という生活者のニーズがかみ合ったわけです。私自身も、せめて旅行の気分だけでもと「HafH(ハフ)」というサービスに登録しました。
さて、時は流れて今は旅行の制限もなくなりましたが、HafHの会員数は伸び続けており、4万人に達する勢いです。
もちろん、旅行を目的にこうしたサブスクに登録する方もいると思いますが、サービスの特性を考えると、そうではなく「気軽にホテルに泊まれる」ことを魅力に感じている方が多いのでしょう。HafHの公式Webサイトにある利用者の声を見ても、旅行ではなく、普段使いのような形で近場のホテルに泊まるケースが多いことが分かります。
こう見ると、ホテルのサブスクは「ホテルの新たな使い方を生み出した」とも言えそうですが、人気の秘けつはどこにあるのでしょうか。この記事では「ユーザー体験(UX)」の観点からその理由を考察していきます。
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