スターバックスは店舗での体験に強みを持つ印象が強いが、今回はべアリスタの育成やWebサイト上でのタンブラー利用数の可視化など、デジタル施策でも大きな盛り上がりを見せた。
山根さんは、デジタル施策を考えるうえで常に意識していることが2つあると話す。
1つは「デジタル上でも店舗パートナーに接客されているのようなあたたかさ」や「スターバックスらしいファンな体験」を提供すること。ビジュアルだけではなく、使用する文章の語り口調なども含めてこだわっているという。
「今回のタンブラー部では、べアリスタを使用することで、環境に配慮した取り組みでありながらも『真面目』『堅苦しい』という印象を排除し、『楽しさ』を訴求しています。べアリスタがタンブラーを使用するたびに成長したりステータスが更新されたりする様子が、当社が大切にしている“ワクワク感”の醸成につながっていると思います」
2つ目は「デジタル上のコミュニケーションを、店舗でのパートナーとの会話につなげる」こと。同社では、パートナーが通常の接客に何らかの一言を添えて、客との会話のきっかけを生み、つながることを「コネクト」と呼んでいる。
「スターバックスのお客さまはパートナーとの会話を楽しみにしている方がすごく多いんです。デジタル施策をきっかけに、パートナーとお客さまの会話(コネクト)が生まれるように意識しています」
「タンブラー部では、期間内にタンブラー利用回数が70万杯を突破した際、限定のスターバックス カードをプレゼントしました。すると、会計時にカードを見たパートナーが『タンブラー部に参加してくださったのですね』と声をかける様子が見られました。他にも『私は今、べアリスタがこんなに成長しているんです』とパートナーに話してくださるお客さまも。
このように当社では、デジタル施策を考えるうえで、店舗での会話につなげることを強く意識しています。特に、店舗に負荷をかけすぎず、デジタルで完結する体験を提供するよう工夫しています。
例えば、べアリスタの部室コンテンツはWeb上で完結する体験です。店舗でパートナーにべアリスタを見せるかどうかは、お客さまに委ねています。私たちはあくまできっかけを作るだけで、お客さまやパートナーに強制はしません。『1人でも楽しめるけれど、そこから店舗での会話が広がるきっかけにもなる』体験を重視しています」
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