ガンプラ、PS5、ポケカ……相次ぐ高額転売 ユニークな対策も“いたちごっこ”専門家に聞く(2/3 ページ)

» 2023年08月01日 17時00分 公開
[樋口隆充ITmedia]

PS5「開封シール」貼り付け→店内で開封

 PS5も転売対象となっていた商品だ。最近になり流通量が安定し、店舗でも通常購入できるようになったものの、半導体不足などで長く生産量が増えず、抽選方式で当選者に販売していたため、転売ヤーのターゲットとなっていた。SIEは転売が横行していたフリマアプリに高額転売の防止を要請したものの、結果的にスルーされていた。

photo PS5本体(提供:ゲッティイメージズ)
photo 一時メルカリでは高額出品が相次いだ

 そこで各販売店が始めたのが、購入後に専用シールを貼り、店内で開封するといった販売方法だ。開封した時点で中古品扱いとなるため、新品での高額出品を求める転売ヤーをけん制できるというものだ。

 シールはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、販売店側に配布。Twitter上の投稿を見ると、大手家電量販店コジマやビックカメラなどは、箱に「開封シール」を貼った上で、箱を開封し、購入者に渡していたようだ。コジマの一部店舗では、自社の会員カードの購入履歴などで、PS5の購入歴がないかも確認していたという。

photo SIEが各店舗に配布した「開封シール」(出典:TSUTAYA土佐道路店公式Twitterアカウントの投稿

ポケカ「トリックルーム」事件

 近年、人気が高まっているポケカ。受注生産の採用などで転売ヤー対策を積極的に打ち出したことで注目を集め、最近は主要なテレビや新聞などでも取り上げられるようになったが、コアなファンの間では、以前から新商品が争奪戦になるほどの人気ぶりだった。

 ポケカファンの間で有名な出来事がある。通称“トリックルーム事件”だ。新商品の発売日に購入希望者が早朝から列を作ることを問題視していた販売元のポケモンは、直営の「ポケモンセンター」各店舗で、整理券を配布して販売するとともに、開店時間前に列を形成しないよう、事前に呼び掛けていた。

 だが、そんな呼びかけもむなしく事件は起きる。21年4月発売の新商品を求めて、ポケモンセンター日本橋店の前には前日や当日の早朝から行列ができていた。そうした列を横目に、開店時間後、店舗スタッフは後列から整理券を配布。時間通りに並んだ人から整理券を配布し、転売ヤーの購入を防ぐという形だったが、事前に早くから並んでいた購入希望者とトラブルになった。

 その後、Twitterなどで話題となり、後列から配布した点を、「すばやさ」が低いポケモンから先に攻撃できる技「トリックルーム」に例えて「トリックルーム事件」と呼ばれるようになった。店舗側も事前に公式サイトで「案内前に列を形成した場合、順番での案内はしない」と記載していたため、ネットでも店舗側の対応を称賛する声が相次いだ。

photo 「案内前に列を形成した場合、順番での案内はしない」と事前告知(出典:公式Webサイト)

 このように販売元の企業や店舗は、転売ヤー対策として数々の取り組みを行っている。その一方、転売ヤーは消えない上、そうした彼らから購入する人もいるのが実情で、いたちごっこの様相を呈している。

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