動画3.0において、プラットフォームの主役は芸能人でも企業でもなく、ユーザー(クリエイター)だ。そしてクリエイターは熱を生み出す巨大なコミュニティーを持っており、コミュニケーションの軸を担っている。「これは裏を返すと、クリエイターの力を借りなければ商品の魅力を消費者に伝えられないということ」(明石氏)であり、クリエイターエコノミーは拡大の一途をたどっている。
余頃氏もまた「マーケットを構成しているのはコミュニティー」だと話し、続ける。
「どのようなマーケットも、複数のコミュニティーが重なり合ってできています。そしてそこにはKOL(キーオピニオンリーダー)、インフルエンサーと呼ばれるような代表者がいますよね。消費者が企業やメーカーに対して帰属意識を持つことは少なくても、クリエイターが投稿している動画は毎日見ているなどコミュニティーに対する帰属意識はある。動画マーケティングを検討する上で、そういったキーパーソンを押さえることは重要です」(余頃氏)
とはいえ、それはいわゆるZ世代と呼ばれるような層だけを対象とした商品PRに限った話ではないのか? 明石氏は「そこに隔たりはない」という。実際に総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」では、全世代で平日の「インターネット利用」が「テレビ(リアルタイム)視聴」を2年連続で上回る結果が出ている。
「世間に対して新しいムーブメントを起こそうと考えたとき、(ネット上の)コミュニティーの力がなければ実現が難しい時代に突入しています」(明石氏)
実際に“TikTok売れ”した商品は多数ある。カネボウ化粧品「KATE」(ケイト)のリップモンスター、独企業メダラー社の地球グミなどがよく挙がる例だが、このTikTok売れのエネルギー源である熱量を誘発するために欠かせないものこそ、クリエイターが持つコミュニティーだ。つまりクリエイターは、企業の競合相手であると同時に共創相手にもなり得る。この認識が、熱を生み出す動画マーケティングの第一歩になる。
ワンメディアでは、このような企業ブランドとクリエイターのデジタルコミュニケーションをどうプロデュースしてTikTok売れに導いているのか? キーファクターになるのが「コメント」だ。TikTokに何かのコミュニティーがあって商品をPRしたい場合、ただ質の良い動画を届けるだけでは熱量は生まれない。
【後編】では新興メディアならではのマーケティングファネルを基に、TikTok売れのカラクリに迫る。
マーケティングのトレンドについては、職種別の最新動向や課題にフォーカスしたオンラインイベント「Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summer」も要チェック。「マーケティング」カテゴリーにWellnessMe CEOで経営/マーケティング コンサルタントの長瀬次英氏が登壇し、顧客エンゲージメント向上などについて講演する。
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月24日(日)
【視聴】事前登録制(無料)
【視聴方法】こちらから無料で登録!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング