日本企業では、時間と場所を決めて上司と部下が「1on1」ミーティングをしていますが、グーグルには、同じチームのマネジャーとメンバーに限らず、誰とでも気軽に「1on1」をする文化が根付いています。
「Let's have a coffee」とか、「Let's have a chat」(雑談しましょう)と誘い合い、一日のどこかで30分くらいの時間を作って、社内のカフェテリアなどで雑談します。
何かを知りたい、確認したい、キャッチアップ(遅れを取り戻す)したいなど、雑談の目的はさまざまですが、自分の意見や疑問、悩みを率直に伝えて、日常的にお互いの情報をアップデートしています。日ごろの雑談を通じて、社員同士が心理的安全性を高めているから、オープンな会話ができるのです。
マネジャーとメンバーが「1on1」ミーティングをする場合、グーグルでは、その時間はマネジャーのものではなく、メンバーのものという考え方が徹底しています。
マネジャーがあれこれと質問するのではなく、その時々でメンバーが「気になっている」こと、「悩んでいる」こと、「話したい」ことをテーマにします。
基本的には、自然と仕事のアジェンダの話になりますが、成果を上げているマネジャーほど、「プライベートな相談」に乗っているという傾向があります。
それは、マネジャーとメンバーの両方が、「1on1」ミーティングの意味や意義、目的をハッキリと認識している……と考えることができます。
グーグルの社員は「博士号」を持っている人が多く、その割合はNASA(アメリカ航空宇宙局)よりも高いため、企業としては世界ナンバーワンといわれています。
社員のほとんどは探究心が強く、好奇心も旺盛ですから、上司と部下の「1on1」でも、「とにかく頑張れ」とか、「気合が足りないぞ」といった根性論はまったく通用しません。何かを議論する場合でも、必ず「そのエビデンスは?」というフレーズが飛び出すなど、合理的で客観的な会話を交わす企業カルチャーがあります。
社員は賢く、それぞれが自立した大人ですから、雑談をしていても人のウワサ話に終始するようなことはありません。必要であればウワサ話をしていても問題はありませんが、それが自分のパフォーマンスの向上につながるわけではないので、話題は自然と建設的な方向に向かうのです。
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