一体何がネックとなっているのだろうか。週休3日制の導入のネックを聞くと「部署間の不公平」が62.4%、「出勤日の勤務時間の増加」が49.6%、「従業員間の不公平」が46.8%と続いた。
さまざまな職種があるなかで、仕事を自らコントロールできる部署は週休3日制に踏み切れる可能性も高いだろう。一方、顧客と日々接点がある職種だと、そもそも週休3日制は無理である。そのような不公平感がある制度は導入できない──といった意見が最も大きかった。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、半ば強制的に在宅勤務が進められた時にも似た議論が展開された。
接客業では在宅勤務はそもそも無理。「いいよね、管理部門は」「いいよね、内勤は」とひがむ声もあった。それから3年経過し、そのような声はほとんど聞かれなくなり、ハイブリッドワークが定着している。
週休3日制も同様に、まずは取れるところから始まり、徐々に市民権を得ていくことになるのだろうか。
在宅勤務や男性育休取得にも通じる点があると思うが、肝は「業務の効率化」だ。今までの状態で、在宅勤務を取得したり、男性育休を取得したりしようとすると、出社しているメンバー、あるいは、育休取得者以外のメンバーへのしわ寄せがあるのではないか、という懸念がどうしても生じる。同じ業務量であれば、誰かが肩代わりしなければならない。それは当然である。
在宅勤務であれば、リアルからITツールへの置き換えという効率化が必要であろう。育休や今回の週休3日制も、業務量の削減であり、業務の可視化による標準化、そして多能工化という効率化が必要となる。
いきなり週休3日制といわれても、受け入れられる状況を作らないとどこかにしわ寄せがくる。週休3日制の導入を検討すると同時に、業務効率化も併せて推進していくこと、そのきっかけとすることが重要だ。週休3日制のみならず、今後もさまざまな新しい人事制度や考え方が出てきた際には、それがすんなり導入できる素地を作っておくべきである。
いずれにしても世の中の流れとしては、ハードワークが是正されていくだろう。いかに業務量、業務時間を少なくするかといった流れに向かっていることは間違いない。「物流2024問題」もしかりである。
この流れは不可逆的であり、ますます推進されていくであろう。その都度、制度に合わせて右往左往するのではなく、素地として、業務効率化を着実に進めておくことが重要だろう。
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