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週休3日制は「不公平」? 導入できる企業・できない企業、それぞれの意図「総務」から会社を変える(3/3 ページ)

» 2023年08月31日 07時00分 公開
[豊田健一ITmedia]
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個人と会社が、選び選ばれる時代に

 ここまで週休3日制の導入における懸念点について言及したが、そもそも週休3日制のメリットとはいったい何なのか。

 企業として捉える週休3日制のメリットは「ワーク・ライフ・バランスの向上」が70.9%、「従業員のモチベーションアップ」が42.6%、「人材採用」が32.6%と続いた。

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 週休3日制はあくまでも手段だ。その先にはワーク・ライフ・バランスの向上、モチベーションアップといった目的があることが分かる。

 それはなぜなのか。ワーク・ライフ・バランス向上やモチベーションアップはどちらも従業員の定着のため、活躍してもらうために欠かせないポイントでもある。しかし、最大の課題はさらにその前、従業員の採用である。採用がしやすくなるように、さまざまな人事制度が導入されているのである。その一つとしての週休3日制、という側面もある。

 採用という課題に対して、企業側がとるべきスタンスとしては、在宅勤務にしろ、週休3日制にしろ「画一的に、全社一律で実施する」というのではなく、選択肢を数多く提供し、従業員の自律的な選択に任せるというものであろう。

 ダイバーシティ、価値観の多様化、個別最適化。個人と会社の関係性もパラレルとなってきており、双方が選び選ばれる関係となっている。その意味においても、週休3日制もあれば、週休4日制もあってもよい。最大限の選択肢ということであれば、労働日数を選択できる、という制度であってもよいのだろう。

 働き方改革全盛のころ、サイボウズが「百人いれば百通りの人事制度があっていい」というメッセージを発信していたのが記憶に残っている。この言葉、素晴らしい慧眼(けいがん)であった。個人と会社が選び選ばれる時代、まさにそうした考えが必要となってくるだろう。

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著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)

株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。

著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)『マンガでやさしくわかる総務の仕事』『経営を強くする戦略総務』


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