まず営業プロセスを構築することの目的に立ち返ると、「組織の成果最大化」が大上段にあります。データを残すことももちろん大切ですが、使われない・使えないデータが残ることや、データを残すために現場の時間を不必要に奪うような設計は、手段が目的化している状態です。この前提のもと、理想的な営業プロセスを追求していきます。
上部のイメージから、縦軸を部門、横軸を業務プロセスだとした場合、一部門の業務のデータだけ最適化したところで営業行為そのものの最適化は難しいことが分かります。
例えばマーケティング部門の役割として、ナーチャリングするためのリード管理を担う場合、コンバージョン(CV)までのデータの流れしか設計していなければ役割に特化したデータのみが蓄積されます。その他の部門とのデータの連動性に関しては分断されていることも多く、このような積み重ねが本来の目的である業務最適化を遠ざけてしまうことになるため、まずは俯瞰(ふかん)して業務プロセスを構造化してみることが重要となります。
業務の全体像が描けたら、ソリューション(ツール)群の設定とオペレーションを設計します。オペレーションを効率化でき、かつ、運用する過程においてデータを記録できる設計である必要があります。
全体像の設計が完了したら、可視化すべき指標を算出するために「データを定義」します。
例えば「商談の成立有無」の定義について、Aさんは「口頭発注を受けたタイミング」、Bさんは「見積金額の承認が通り、顧客からの発注の合意に関する言質がそろったタイミング」と認識していた場合、入力されたデータにも差分が生じます。このような営業担当ごとの認識をそろえ、データを適切に取得することが重要です。
データの定義が明確でないと、未入力、誤入力、データ項目の欠損など、AIによる活用が難しいデータを貯めてしまう原因になります。正確なデータがそろわなければ、意思決定できません。
また、中でも特に重要なデータは「顧客との合意情報」です。営業プロセスを進めていく過程で、「本当に予算OOO円はXX月までにYYYという眼目で取得できるか?」「予算のROIはどう考えるか? 見込んだ数値に到達しない場合はどうするか?」といった、成約やその後のサービス利活用に影響を及ぼすデータが参照可能な状態で蓄積されていなければ、いくらたくさんのデータを保有していても示唆につながらない無機質なデータの羅列になってしまいます。成果最大化に向けた洞察を得るために、どのような項目がデータとして必要なのかを定めましょう。
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