ジャニーズ事務所が社名を「SMILE-UP.」(スマイルアップ)に変更すると発表した。
この会社は「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」という考えに基づいて、被害者の補償を行い最終的に廃業する。
では、ジャニーズタレントのマネジメントはどうするのかというと、新たにエージェント会社を設立し、所属タレントは個別にそちらと契約を結ぶという。
今回の不祥事を受けて、コンプライアンスの見直しをする。9月30日付で山田将之弁護士をチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)として任命して、人権方針の改訂、監査、調査などの具体的な業務及びその実行のための権限を割りあてるという。
ここまで旧体制を「全否定」すれば、テレビCMを出稿する大手企業の「ジャニーズ離れ」にも歯止めがかかるはず。こうした狙いがあるのは明らかだが、企業危機管理を生業(なりわい)としている立場で言わせていただくと、残念ながらこのやり方では社会的信用を取り戻して、「企業再生」することは難しい。
不祥事企業が社名を変えたり、別会社をつくったり、というのはよくやる手法だ。弁護士にCCOをやらせるとか、社外取締役や監査役を一新してガバナンスを強化しましたとか、というのも最近多い。
しかし、正直あまりうまくいかない。当初は新社名で生まれ変わったような印象を与えるが、ほどなくして内部の体質がまったく変わっていないことが分かるような不祥事や醜聞が発覚する。
なぜそんな残念なことになってしまうのかというと、理由はシンプルで「経営体制」が変わっていないからだ。「器」をきれいにしても「中身」が同じなので、生まれ変わることができないのである。
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