不正や改ざんもそうだ。
特殊な世界で生きてきた素人社長は、自分がこれまでそうされてきたように「特殊な世界のことは、特殊な世界のことを知る者に任せよう」と組織内で「外部が触れてはいけない聖域」をつくってしまう。そういう「聖域」の中では、「プチ・ジャニー喜多川」のような人物がコンプライアンスやガバナンスを無視して、やりたい放題できてしまうのだ。
これが、自分の会社という特殊な世界しか知らない素人社長が舵取りする企業で、不正や改ざんが多発する根本的な原因である。
そういう意味でも、ジャニーズ事務所の再生は「外部からジャニーズカルチャーを知らない経営者」を招いて、はじめて実現できる。
ジャニーズ事務所という特殊な世界のカルチャーに毒されていないし、何よりもその組織の中でしか通用しない「異常なルール」に気付いてメスを入れることができるからだ。これは社外取締役や監査役、あるいはCOOでは難しい。代表権を持つ者が独断で改革を進めることができないと、組織というものは変わらないのだ。
東山社長や井ノ原副社長には、所属タレントたちの未来のためにも、「新会社の経営をプロに任せて、芸能活動に専念をする」という決断を期待したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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