ファミマが2023年3〜8月期決算を発表した。営業収益は2612億円(前年同期比12.7%増)、事業利益は前年から128億円伸ばし517億円(同32.9%増)、当期利益は330億円(同50.7%増)と、人流回復による売り上げ増加がうかがえる。
しかし、コンビニ業界全体を見てみると、客数が新型コロナウイルス流行前の19年の水準に戻っていない状況がある。
日本フランチャイズチェーン協会によると、既存店ベースの来店客数は、19年8月度は「14億5553万8000人」だったのに対し、23年8月度は「13億7431万9000人」と、8000万人ほどの差がある。
消費経済アナリストの渡辺広明氏は「昨今のコンビニ業界の決算を見る際は注意が必要だ」と指摘する。
新型コロナウイルスの5類移行を受け、街には人が増え、少しずつインバウンドの復活も見られる。しかし、19年と比較してコンビニの客数がなかなか復活しない要因に、渡辺氏は「生活様式の変容」を挙げる。
「コンビニの客数がコロナ前に戻らない背景には、人口減社会が前提の影響もあるものの、コロナ禍の行動変容の影響が大きいと考えます。会社に出社しないテレワークが一部に定着し、ビジネスパーソンを中心にWeb会議が主流となったことにより、街への人出が少なくなり、コンビニに立ち寄る回数が減ったのが主要因といえるでしょう」
「そうは言っても現在は、街への人流はコロナ禍よりも戻っているため、売り上げの前年比の数値は常に好調となります。本来であれば、客数をコロナ禍前の水準へ戻すための施策を講じていく必要がありますが、平時と同様なキャンペーンなどマーケティング施策でも結果が出やすい状態のため、行動変容に対する客数アップへの抜本的な対応が遅れてしまっている現状があると考えられます」
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