RX-7復活か? マツダのロータリー新スポーツカー登場池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

» 2023年10月30日 05時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

フロントミッドシップにロータリー発電ユニットを

 もう少し構成を見てみよう。あらかじめ断っておくが、ここから先は、具体的な発表はされていない。現物と過去に発表されたビジョンスポーツ関連の資料から考察した筆者の予想である。

 2ローターユニットは先述の通り、8Cをベースにしたもので、ロータリーエンジンの雑食性を生かして、ガソリンでもバイオエタノールでもe-FUELでも、水素でも走れる。マツダのリリースでの表現は諸々を含んだ「カーボンニュートラル燃料」との表記になっている。このマルチ燃料に関してはおそらくまだ開発中だと思われる。

 シャシーの構成は、アルミダイキャストのXバックボーンフレーム。そのフロントの二股にロータリー発電ユニットを、ロードスターより深くフロントミッドシップに抱える。なぜならば直4よりコンパクトなロータリーかつ、トランスミッションがいらなくなった分、エンジン位置をより後退させられるからだ。

アルミダイキャストのXバックボーンフレーム(オフィシャル動画より)

 従来のプロペラシャフトの位置には小型バッテリーを置く、おそらくは容量17.8kWhのMX-30 R-EVに近しい、20kWh前後のバッテリーが搭載されると思われる。その場合はEV航続距離も100キロ強が予想される。ただし重量も軽く、総合空力で圧倒的に有利なICONIC SPの方が航続距離が伸びるはずで、そこで航続距離を取るのか、それとも航続距離はMX-30 R-EV並みにしてバッテリーを減らし、重量と価格で推すのかは蓋(ふた)を開けてみないと分からない。

 重量物のバッテリーは当然のごとく低い位置にマウントされる。重量配分の最適化のみならず、高剛性のバッテリーケースによってボディ前後の捩(ねじ)れを抑制できる。ロードスターでパワープラントフレームが果たしていた役割の一部(FRの場合、プロペラシャフトの反力を受け止める意味も大きい)をバッテリーケースが肩代わりするわけだ。さらに、バッテリーがクルマの中央にあるのは、バッテリーケースのクラッシュセーフティにも役立ち、事故の際の出火リスクも減る。

 モーターユニットもまたリヤの低い位置に搭載される。つまりリヤモーター後輪駆動かつフロントに発電エンジンという構成で、これをFRと呼ぶべきか、RRと呼ぶべきか、それとも全く新しい名称を授けるべきかは迷うところだ。

 重量バランス的にはロータス・エランやそれに範を取るロードスターに近しいはずだが、おそらく重量物がより中央に寄せられたことで、ヨー慣性モーメントは小さくなっていると思われる。

初代ロードスターのパワートレイン。前後を繋ぐ穴あきプレートがパワートレインフレームを構成している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.