それでも多様性の面白さはモリゾウ氏の頭にもあるはずである。ICONIC SPという素材、あるいはロータリー発電機という素材があれば、トヨタは何ができるかをモリゾウ氏は分かっている。
一方マツダにとってこのクルマを市販化するに当たって、最大の問題は採算性である。やりたいのは山々だし「マツダはEVをやる気がない」という世論のアゲインストに対して、「マツダにはモーターの駆動力制御でこれだけのことができる」と彼らの面前に叩きつけたい鬱憤(うっぷん)もたまっている。ただマツダの規模では、伸るか反るかの大勝負はできない。過去にそれで何度も火傷をしている身である。そういう諸問題がトヨタとのコラボによって解決する可能性は高いのだ。
MX-30 EVモデルの時から、マツダはBEVのモーターの駆動力制御で楽しいハンドリングを提供できる実力を示している。重心が低く、重量配分により優れたこのクルマがどういう乗り味なのか、市販すら発表されていないクルマながら、筆者は今から試乗会が楽しみでならない。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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