CxO Insights

“ソニー流”事業開発「失敗の法則」 副社長に聞く「それでも妄想が必要な理由」1000億円の事業を作る(1/3 ページ)

» 2023年10月31日 08時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 生成AI領域をはじめ、近年ベンチャーへの投資が盛んだ。ベンチャーキャピタル業界では、オーバーサブスクリプション(売りに対して買いが上回る状態)が続いていて、ベンチャー側がどこの投資を受けるか吟味する時代にもなっている。

 一方で、事業開発には失敗がつきものだ。ベンチャーへの投資が早ければ早いほど、うまくいけば高い収益が得られる反面、全損するリスクもある。こうした事業開発を、ソニーグループは長年にわたり続けている。2016年には「ソニーイノベーションファンド」を創設した。

 このファンドを率いるのが、ソニーグループ副社長CSOを務める御供(みとも)俊元さんだ。御供副社長によると、これまで数々の事業開発で失敗してきたという。その際どのように対処してきたのか。

 リブ・コンサルティング主催の「事業開発SUMMIT2023」で同社代表取締役の関厳さんと対談。1回目2回目に続き、御供副社長が明かした。

御供俊元(みとも としもと)ソニーグループ株式会社 執行役 副社長CSO。知的財産、事業戦略、ビジネスディベロップメント、事業開発プラットフォーム担当。1985年ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。93年より、ソニーの米国法人であるSony Corporation of Americaに赴任し、主に知的財産の観点から新規事業および投資に携わる。2013年の帰任と同時に業務執行役員に就任し、その後16年にソニーのCorporate Venture Capitalである、Sony Innovation Fundを設立(現在も担当役員としてけん引)。さらに21年には、事業開発プラットフォームが担当領域に加わり、23年4月より現職に至る
関 厳(せき いわお) 株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役。東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。住宅・不動産、自動車、電機メーカー、卸売など幅広い業界のコンサルティング業務に従事した後、ボードメンバーとしてコンサルティング部門を統括。2012年「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念としてリブ・コンサルティングを設立。現在は当社代表に加えて株式会社Impact Venture Capitalの代表パートナーも務める

失敗覚悟の規律あるバジェットを組む

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.