店の風紀は乱れない? 相次ぐ身だしなみルール緩和の背景 きっかけとなった大手の施策とはゾフ、ドンキ、ベルク……(3/5 ページ)

» 2023年11月27日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

さまざまなデータで見る、日本企業と身だしなみ

 日本労働組合総連合会(連合)の「社内ルールにおける男女差に関する調査2019」によると、仕事で身だしなみに何らかの決まりがあると回答した人は、57.1%でした。また、マイナビキャリアリサーチLabが22年に発表した調査結果によれば、アルバイトに対して職場での身だしなみに一定の決まりを設けている企業は多く、特に小売り・サービス業では7割前後に上ります。

 多くの会社は、消費者との距離感が近いことから、身だしなみ基準が厳しく設定されているのです。また、小売り・サービス業の店頭には老若男女の幅広い客層が来店します。そのため、清潔感ある服装や派手過ぎないメイクや髪色、余計なアクセサリーを着用しないことが無難であり、会社の品位にもつながると考えられてきました。

 社員の身だしなみが乱れると、心の乱れにつながるという商売の心得的なものも多数存在します。実際に筆者のコンサルティング先である古着チェーンの会社でも「茶髪禁止」「ピアス禁止」「ネイル禁止」がルールです。身だしなみを一度崩すと、仕事や業務態度もいい加減になることを経験したことがある経営者が、それを防ぐために身だしなみ基準を作っていました。

 身だしなみ基準の緩和は、従業員のモラル低下をもたらし、結果的に自社の評判を落とすことにつながりかねないと感じている会社は多いはずです。一方、先ほど引用したマイナビキャリアリサーチLabの調査結果で「アルバイトの服装、身だしなみを自由にすることの影響について」という項目を見ると、意外なデータが出ています。

出所:同前

 アルバイトの服装を自由にすることについて「良い影響を与える」が24.9%、「影響はないと思う」が41.6%。「悪い影響を与える」は33.5%と、否定派は少数なのです。スタバのアンケートにもあった通り、緩和した方が採用や顧客コミュニケーションで効果を発揮し、働く人の満足度は上がります。

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